森林の土地を相続などにより取得したときは届出が必要です
平成23年4月の森林法改正により、平成24年4月以降、森林の土地の所有者となった方は市町村長への事後届出が必要となりました。
個人、法人を問わず、売買や相続等により森林の土地を新たに取得した方は、面積に関わらず届出をしなければなりません。(ただし、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を提出している方は対象外です。)
届出書には、届出者と前所有者の住所氏名、所有者となった年月日、所有権移転の原因、土地の所在場所及び面積とともに、土地の用途等を記載します。
届出先は、各町村役場の林務部門担当の部署です。
土地の所有者となった日から90日以内に、取得した土地のある市町村の長に届出する義務があり、これに反し届出をしない又は虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料が課されることがあります。
この届出は、行政書士の業務です。
「所有者となった年月日」について、相続の場合、どの日のことを指すのかふと疑問に思って、調べました。
遺産分割協議や、審判による遺産分割がなされた場合、その効果は相続開始時に遡ります。
つまり例えば、平成15年7月に亡くなった方の遺産について、平成24年7月に遺産分割協議が成立した場合、平成15年7月の死亡日に所有権移転したことになるのです。所有権移転の登記も、原因日付は平成15年7月の死亡日になります。
それでは、「所有者となった年月日」が平成15年7月ということになるなら、平成24年4月以降に森林を取得した場合にあたらず、届出は不要ということになるのでは?と疑問に思ったわけです。
林野庁に電話をして問い合わせてみたところ、丁寧に回答をいただきました。
遺産分割が成立する前は「遺産共有」状態で、遺産分割を機に権利の変動があったと考えるので、この権利の変動について届出が必要ということでした。
つまり、上記の例のように、平成24年4月以降に遺産分割協議が成立した場合は、届出の対象です。
そしてこの場合、届出書の記載欄の「所有者となった日」には、遺産分割協議成立日や審判確定日を記載すべきとのことです。
届出書には、遺産分割協議書等も添付して、協議成立日を証明する必要があります。
遺産分割協議成立日や審判が確定した日から90日以内に届出をしなければなりません。
遺産分割前の「遺産共有」状態の届出と、遺産分割後の届出と両方必要なのではなく、遺産分割協議後の届出のみでよいそうです。
ただし、被相続人の死亡日(相続開始日)が平成24年4月以降の場合は注意が必要です。
相続開始から90日以内に届出をする義務があるので、その間に遺産分割協議が整わなければ、「法定相続人の共有」として届出しなければなりません。
遺産分割が整うまでの暫定的な「遺産共有」状態の段階でも、届出義務は免除されていません。
また、相続登記の有無は届出義務とは関係ありません。
協議中ということであっても、相続登記が未了でも、相続開始から90日以内に届出をしなければならないということです。
さらに今日わかったことですが、「地域森林計画」区域に指定されていない森林の土地は、届出する義務はないそうです。
この「地域森林計画」区域かどうかは、市町村役場に問い合わせれば教えてくれます。
ちなみに、
農地についても、罰則はありませんが類似の制度があり、相続により取得した場合は農業委員会に事後届出が必要です。
相続登記が完了して安心したからといって、うっかりこの届出を忘れてしまわないよう、注意しましょう。
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