土地・建物の相続、新築、売買等の登記手続
土地・建物の相続
土地、建物等の不動産を相続した場合には不動産を管轄する法務局で登記上の名義を変更する手続き(所有権移転登記)を行わなければいけません。
また相続による登記手続きをするためには、まずは不動産を相続する人を決める必要があります。具体的には、遺言書がある場合にはそれに従いますが、もし遺言書が無い場合には相続する権利のある方全員での話し合いにより決めることになります。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。
協議により決めた内容は遺産分割協議書として作成し、相続人全員で押印します。
これらの相続による不動産の登記に係わる手続き全般は司法書士が行う事が出来ます。
ぜひお気軽にご相談下さい。
建物の新築の手続き
新築の建物には当然のことながら登記情報が存在していません。そのため、家などを新築した際には原則として建築後1ヶ月以内に建物の所在地を管轄する法務局に対し「建物表題登記」の申請を行わなければいけません。建物表題登記では建物が存在する所在、地番、建物の家屋番号、建物の種類、構造、床面積を申請し登記します。
売買等の登記手続
不動産を売買した場合には「売買」を原因とする所有権移転の登記を行わないと、売買の当事者以外の人に新たな所有者であることを主張することが出来ません。
登記の申請手続きは売主と買主の連名の登記申請書を提出することで行います。
申請には申請書の他に主に以下の書類が必要となります。
- 登記原因証明情報
- 売主の権利証(登記済証)または登記識別情報
- 売主の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- 買主の住民票
- 売主や買主の資格証明書
- 固定資産評価証明書
売買の他、贈与により不動産の所有者の移転があった場合には贈与による所有権移転登記、離婚による財産分与の場合には財産分与による所有権移転登記を行います。
個々のケースにより必要な書類が変わってくる事があります。
当事務所では登記に関する事はなんでもご相談を受けて付けております。
お気軽にお問い合わせ下さい。
未登記家屋について
日本の法律では不動産の取引の安全と円滑化を図るため、不動産の現況、権利関係を登記簿に記録して公示する不動産登記制度を採用しています。
しかし、建物を新たに建築しても、申請しない限り自動的に登記されることはありません。そのため、自ら登記申請をしないと、未登記の建物として存在し続けることになります。
この未登記建物は相続により不動産を名義を変更しようとした場合や、建物を売却しようとした場合に初めてわかるということがよくあります。
建物を建築した場合には1ヶ月以内に登記しなければいけないと定められており、この義務を怠ると10万円以下の過料に科せられます。ただし、実際には未登記のままでもこの過料を科せられることはほとんどなく、現実にはたくさんの未登記建物が存在しています。
未登記の建物であっても市町村が独自に調査、測量して家屋台帳を作成し、固定資産税を課税しますので、固定資産税の通知が送付されていても登記がされているとは限りません。
課税通知書に家屋番号が記載されていない場合は未登記建物である可能性があります。
建物を未登記のままでいても問題がない場合が多いのも事実なのですが、登記していないことによるデメリットももちろんあります。
主なものとして、建物を売買しようとした場合に所有者として確認が出来ず取引が出来ない、または抵当権等の担保設定が出来ないため金融機関からの借り入れが出来ないということがおきます。
未登記の建物であっても、いつでもその所有者から不動産の所在地を管轄する法務局に登記の申請をすることができます。
自分の権利を守るために登記はなるべく早くすることをおすすめします。
住宅ローンに関する登記手続き
住宅を新築する場合や購入する際に融資を受けるとき、土地や建物に抵当権(不動産担保)を設定することが多いと思います。
不動産に抵当権を設定したときには抵当権設定登記をする必要があります。
もし登記をしていないと抵当権を行使する際に優先的な弁済を受けることが出来ないといったことになる可能性があります。
銀行などの金融機関からの融資の場合には、金融機関と提携した司法書士が登記を行うことがほとんどだと思いますが、個人間での融資の場合には融資した方がご自身で登記を行わなければいけません。
また、ローン完済後でも抵当権は自動で抹消されませんので、必ず抵当権の抹消登記の手続きをする必要があります。金融機関にて抹消の手続きをしてもらえることもありますが、必要書類が送られてくるだけの場合もありますので、その場合はご自身にて抹消手続きをすることになります。
必要書類の中には有効期間があるものもありますので、書類を受け取ったらなるべく早く手続きすることをおすすめします。
当事務所では抵当権設定、抹消手続きに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせ下さい。
抵当権設定登記
必要書類
- 登記原因証明情報(又は抵当権設定契約証書)
- 資格証明書(3ヶ月以内のもの)…抵当権者や抵当権設定者が法人である場合
- 権利証又は登記識別情報
- 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)…抵当権設定者
- 司法書士への委任状
抵当権抹消登記
必要書類
- 登記原因証明情報(解除証書・放棄証書・弁済証書等)
- 登記済証又は登記識別情報
- 金融機関等の委任状
- 金融機関等の資格証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
大規模な土地の取引きについて
広い土地の売買や交換など権利の移転や設定を伴う契約をした場合には知事への届出が必要となります。
これは土地の投機的取引や地価の高騰を抑制するため、また適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、国土利用計画法において大規模な土地取引について届出制度が設けられているためです。
このため、一定面積以上の大規模な土地の契約を行ったときは、契約(予約を含む)の締結後2週間以内に土地の所在する市町村役場に届出をしなければなりません。
この届出を怠ったり、偽りの届出をすると罰せられることがあります。
届出が必要な取引の規模
都市計画法上の区域 | 面積 |
---|---|
市街化区域 | 2,000㎡以上 |
市街化調整区域 | 5,000㎡以上 |
都市計画区域以外の区域 | 10,000㎡以上 |
届出が必要な取引の形態
売買(共有持分の譲渡、営業譲渡等)、譲渡担保、代物弁済、代物弁済予約、交換、形成権の譲渡(予約完結権の譲渡、買戻権の譲渡等)、現物出資、信託受益権の譲渡、地位譲渡、第三者のためにする契約、停止条件付き契約
※これらの契約の予約契約の場合も、届出の対象となります。
空き家問題
現在、日本では少子高齢化などにより空き家が急増し、2033年には3軒に1軒が空き家になる可能性があるともいわれ大きな社会問題となっています。
家主がいなくなり誰にも管理されず放置された家屋は、倒壊の恐れや雑草、害虫の発生源になるなど、その近隣に住む方々にとってとても危険な存在となってしまいます。
空家対策特別措置法
全国で問題となっている放置空き家対策として平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が制定されました。
この法律では居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物を「空き家」とし、本来所有者の許可なしに敷地内に立ち入ることができない空き家に対して、自治体が敷地内への立ち入り調査を行う事ができたり、所有者の確認をするために住民票や戸籍、固定資産税台帳等の個人情報を利用できるようになり所有者の情報を取得しやすくなっています。
特定空家
空き家の中でもそのままでは倒壊の危険がある、または著しく衛生上有害となるおそれがある、著しく景観を損なっているなど放置することが不適切である状態にあると認められる空家は自治体により「特定空家」の指定を受けることになります。
特定空家に指定されると自治体より改善の「勧告」を受けることになります。また、勧告を受けると「住宅用地の特例措置」による固定資産税の優遇措置が適用されなくなりますので、更地状態と同様の税額となり最大6倍になる場合もあります。
さらに、勧告に従わず自治体から「命令」を受け、それにも応じない場合には最大50万円以下の過料が科せられることになります。
空き家対策
空き家になってしまう理由は様々ありますが、もっとも多いのが相続です。
高齢の親が亡くなった後、その住んでいた実家を相続した子ども達が遠方に住んでいて定期的な管理が出来なかったり、また思い出のある家を取り壊したり、手放したりすることをためらうなどした結果、誰も住んでいない家が放置され、空き家となります。
そうならないための対策として、遺言を作成し自分が亡くなった後の自宅の取り扱いや処分方法などを指定しておくという方法があります。
また、信託制度を利用することで、元気なうちから自宅の管理を家族や信頼できる専門家等に任せることができ、自分にもしもの事があっても自宅が空き家になってしまうことを防ぐことが出来ます。
すでに空き家となっている持ち家は、地域の不動産ネットワークなどを利用し、カフェや民泊など空き家を利用したいと希望する人に提供し活用してもらうという方法もあります。
当事務所でも相続対策、遺言の作成、信託契約その他空き家対策のご相談を受け付けております。
また、当事務所に併設した合同会社ヤマビコジムショが運営する「空き家ニーズバンク nid」では、道南エリアの「地域のために活動する場を探している人」と「空き家を活用してほしい人」をマッチングするサービスをご提供していますのでお気軽にお問い合わせ下さい。